【6月】茶杓の銘 暦・行事・歳時記 茶碗・茶入に

蛍とホタルブクロ お茶の基礎知識
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6月によく使用される「銘」と、茶道とのかかわりの深い行事を勉強して、銘に対する理解を深めていきます。

茶杓などにつけられる銘には気候や植物、年中行事が深く関わっています。

どんな意味の銘なのか、という疑問もあると思いますので少し解説を付けています。

銘は茶杓だけではなく茶碗や茶入、さらにはお菓子などにも付いていますので、お茶のお稽古の時の問答の参考にしていただければと思います。

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季節の銘ではなく無季のカタい銘が知りたい方は禅語や漢詩関連の銘の記事をどうぞ。

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6月によく使われる銘 

    にじ

    かわず 

カエルのこと

鵜舟   うぶね

鵜飼に使う舟

青梅   あおうめ

まだ未熟の梅

    ほたる

蛍籠   ほたるかご

蛍を入れて鑑賞する

蛍狩   ほたるがり

蛍を見に行くこと

沢辺蛍  さわべのほたる

川の近くを飛んでいる蛍。沢辺は蛍狩りの名所の地名にもある

守山   もりやま

近江の蛍の名所

真菰   まこも

水辺に生える 真菰神事も

沢瀉   おもだか

水辺に生える草

鮎狩   あゆがり

鮎をとること

早瀬   はやせ

瀬で人の気持ちを例えたりする

滝津瀬  たきつせ

激しく流れる浅瀬

養老   ようろう

養老の滝 歌枕

布引   ぬのびき

布引の滝 歌枕にも

泉声   せんせい

泉の音、滝の音

緑苔   りょくたい

緑の苔

氷室   ひむろ

氷を貯蔵する室 謡曲にも

清流   せいりゅう

夏月   なつづき、かげつ

夏のこと

夏山   なつやま

青々と茂る山

漁火   いさりび

魚を寄せる船の上の焚火

夏水鶏  なつくいな

夏に渡来するヒクイナ

苔衣   こけごろも

苔を衣にたとえて

洗心   せんしん

聖人以此洗心

さざ波  さざなみ

細かにたつ波 漣

五月雨  さみだれ

梅雨のこと

山の端  やまのは

山の稜線、空に触れるところ

石清水  いわしみず

岩から湧き出るキレイな水

苔清水  こけしみず

苔を伝わり流れるキレイな水

山の井  やまのい

山の湧水がたまったところ

奥入瀬  おいらせ

青森の渓流、景勝地

茅の輪  ちのわ

夏越の祓でくぐる

夏神楽  なつかぐら

夏の神楽。夏越の祓に行う神楽。

舟遊び  ふなあそび

納涼のために舟を出した 船遊山

空梅雨  からつゆ

梅雨にほとんど雨の降らないこと 

水無月  みなづき

陰暦六月の異名 菓子の銘にも

破れ傘  やぶれがさ

破れた傘。キク科の多年草。

衣替え  ころもがえ

6月になると単衣を着る

夏の露  なつのつゆ

夏の朝露が涼しげ

短夜   みじかよ

夏の短い夜

青田   あおた

稲の青々としている田

飛泉   ひせん

滝のこと 飛瀑

水簾   すいれん

水のすだれ→滝のこと

安居   あんご

僧が夏に籠って修行する 夏安居、夏行

雨雲   あまぐも

光悦の茶碗の銘にも

荒南風  あらはえ

梅雨の盛りに吹く強い南風

白南風  しらはえ

梅雨明けの頃に吹く南風

せせらぎ 

浅瀬などに流れる水の音

夏の海  なつのうみ

水を湛えていかにも涼しげ 夏の湖

河原涼み かわらすずみ

京都の川床 床涼み

夏座敷  なつざしき

葭戸や網代などで涼しくした座敷

水団扇  みずうちわ

岐阜の特産で水をつけて使う団扇

白糸   しらいと

滝など細く白いものをたとえる

七変化  しちへんげ

アジサイの異名 

四葩   よひら

アジサイの異名

八仙花  はっせんか

アジサイの異名

手毬花  てまりばな

アジサイの異名。オオデマリ、コデマリの異名にもなっている。

夏木立  なつこだち

夏の生い茂った木立

涼一味  りょういちみ

暑さの中、ちょっとした涼しさを感じること。

6月は既に夏ですので、やはり水の関係する銘を使うと涼しげになります。
また、蛍はいかにも夏の風情で、香合や茶碗などに蛍が描かれた道具も多いです。

この季節に似合う”鮎”の解禁はほとんどの地域で6月に行われ、鮎の絵が待合の床に掛けられたりする季節です。

6月の銘 旧暦六月の異名

六月の異名を知っておくと、銘を考えるときの参考になりますので、どんな異名があるのか勉強してみましょう。

  • 水無月   みなづき ”水が無い”ではなく「水の月」の意
  • 水月    みなづき、すいげつ
  • 青水無月  あおみなづき 青葉が茂ることから
  • 常夏月   とこなつづき 常夏は「なでしこ」のこと
  • 風待月   かぜまちづき 風が恋しい季節
  • 松風月   まつかぜづき 風を待つ(松)月の意
  • 未月    びげつ、ひつじのつき
  • 建未月   けんびげつ
  • 季月    きげつ 
  • 伏月    ふくげつ
  • 涼暮月   すずくれづき、りょうぼげつ 暮れの涼しい月
  • 蝉羽月   せみのはづき 羽のように薄い着物を着る月
  • 鳴神月   なるかみづき 雷の多い月の意味 鳴雷月
  • 季夏    きか 夏の最後の月 晩夏ばんか
  • 極暑    ごくしょ 極暑月
  • 溽暑    じょくしょ 蒸し暑いことから
  • 長夏    ちょうか 日の長い夏
  • 夏越しの月 なごしのつき 夏越の祓が行われる月

陰暦六月は梅雨の明ける月ですが、現在の6月は梅雨に入る月なので異名にすこし違和感があったりします。

陰暦六月の水無月は初旬には梅雨で、ほとんどの期間は夏真っ盛りというイメージが正しいのかなと思います。

そして、陰暦では四、五、六月が夏ですので、水無月は夏の最後の月でもあります。

【6月の銘】二十四節季・七十二候 雑節・行事

暦や行事は銘をつける際にとても参考になります。

6月の暦と行事について少し詳しくなりましょう。

6月の二十四節季と七十二候

  • 麦秋至 むぎのときいたる 5月31~6月4日頃

芒種 ぼうしゅ 6月6日~20日頃

稲や麦などの「芒(のぎ)」のある植物の種をまくというところからの名前

  • 蟷螂生 かまきりしょうず 6月5日~9日頃
  • 腐草為蛍 くされたるくさほたるとなる 6月10日~15日頃
  • 梅子黄 うめのみきばむ 6月16日~20日頃

夏至 げし 6月21日~7月6日頃

昼の時間が一年で最も長くなり、夜が最も短くなる

  • 乃東枯 なつかれくさかるる 6月21日~25日頃
  • 菖蒲華 あやめはなさく 6月26日~30日頃
  • 半夏生 はんげしょうず 7月1日~6日頃

雑節と茶道で出てくる6月の行事・歳時記

行事や歳時記を知ると季節の銘を自分で考えられるようになります。

衣替え ころもがえ

6月になると単衣の着物を着るようになります。

かつて宮中では更衣(こうい)といって陰暦四月一日に夏服にしていました。

氷室の節会 ひむろのせちえ

陰暦六月一日、宮中で氷室の氷をこの日に食べる行事がありました。氷の朔日(こおりのついたち)

江戸時代になると、庶民は氷の代わりに氷餅などを食べました(氷室の節句)。

陰暦の六月一日は今の7月少し入ったくらいの時期。

入梅 にゅうばい

暦としての入梅は太陽黄経が80°の時、もしくはその日。

かつては「芒種のあとの最初の壬(みずのえ)の日」など色々な説がありました。

現在は気象庁が梅雨入りを宣言します。

御田植祭 おたうえまつり

伊勢神宮、伊雑宮(いざわのみや)の御田で6月に行われる、豊作を祈念する神事。

農作業を模擬的に行うことが中心になっている。

全国の寺社でも行われるが、日程はそれぞれ異なっている。

夏越の祓 なごしのはらえ

6月の晦日、罪や穢れを祓い清め厄災から逃れるための神事が夏越の祓です。

夏越の祓の時に茅の輪くぐりを行っている神社も多いです。

茅の輪は8の字を描くように3回潜ってから参拝します。

夏越神事六月祓ともよばれます。

【7月】茶杓の銘 文月の暦・行事・歳時記
7月といえば、七夕と祇園祭!という感じがしますね。 7月によく使われる銘と、茶道とのかかわりの深い7月の行事を勉強して、銘に対する理解を深めていきます。 茶杓など茶道具につけられる銘には気候や植物、年中行事が深く関わっています。 銘や年中行...

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