濃茶点前の「順序・特徴」の覚え方 薄茶との違いがわかれば簡単に覚えられる【裏千家の茶道】

お点前
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教本では濃茶の全体の流れが細かく書いてありますが、

ココのポイントが薄茶とは違いますよ

ということは書いてくれていないので、なかなか覚えづらいですね。

さて、裏千家の茶道を始めてしばらく薄茶を稽古すると、濃茶を習うようになります。

最初は「薄茶でも覚えるの大変だったのに、濃茶に入ったら頭メチャクチャ!ナニコレ?」って思いますよね。

濃茶点前の順番などをどうやって覚えたらよいのか悩んでしまったりしますが、ポイントをおさえれば実は濃茶はそんなに難しくありません。

薄茶を覚えた時の様な「何から何まで初めてだし本当に大変!」ということは無いです。

濃茶に入ったときに戸惑うのは、薄茶との違いが解っていないためです。

薄茶と違うポイントを知ることで、濃茶という点前がスッキリ解るようになります

「裏千家茶道の濃茶点前の特徴をしっかり理解したい」という方は是非参考にしていただければと思います。

このページでは濃茶と薄茶の違う「ポイント、順序、特徴」に焦点をあてて解説しています。

ポイントを絞っているので、全部の流れは逐一書いていません。

薄茶・濃茶の流れは大体わかっているという人でないと、読んでも「は???」となる可能性がありますので、おおまかな濃茶の流れを把握してから読んでみてください。

また、薄茶との違いがわからなくなったら、再度読み返していただけると嬉しいです。

お点前の覚え方【薄茶の順序】裏千家
裏千家茶道の薄茶点前の順序が覚えられない!という記憶に自信の無い方におすすめな、薄茶点前の覚え方を解説します。覚えるよりも考えたら判るようになった方が、後々役に立ちますし、記憶の定着も良いと思います。
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濃茶点前の特徴【裏千家】薄茶との違い

まずは薄茶点前との違いを列挙します。

じつは濃茶と薄茶の点前の順序にはあまり違いがありません。

道具を持ち出し、清めて、お茶を点てて、片付けて、拝見物を出すという順序は同じです。

なので、シンプルに薄茶とは違っているところを見ていきます。

これを知っておけば、「薄茶→濃茶」を覚える際、新たに覚えることは何なのかが判ります。

  1. 点前をする前の飾り方
  2. 濃茶はふすまを閉める
  3. お辞儀をするタイミング
  4. 茶入、仕服の扱いと四方捌き
  5. 塗蓋を拭く
  6. 中蓋・中仕舞いをする(炉)
  7. 水をさす(風炉)
  8. お湯を二度に分けて注ぐ
  9. 古帛紗を出す
  10. 問答がある
  11. 末客の吸い切りで水を一杓
  12. ごちそうさまの総礼
  13. 亭主がお仕舞を言う
  14. 必ず三器の拝見がある
  15. 薄茶との違い その他

「違うポイントが多すぎない?」

と思うかもしれませんが、読んでいけば実際はそれほど大したことじゃないので

全く、1㎜も心配いりません!

1回読めば濃茶をやったことのある人であれば誰でも理解できると思いますので、安心してください。

何度も言いますが、薄茶と濃茶は基本的なところはほぼ同じと言っても過言ではありません。

つまり薄茶の理解ができていれば、ほとんど問題は出てこないはずです。

道具に着目してみると、違いは「茶入」なのか「薄器」なのかということだけです。

とはいえ、扱いなど細かいところが違うというポイント自体は多いので、一つ一つそれを見ていくことにします。

ここでは基本的に運びの点前ということで、説明をしていきます

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濃茶点前では水指・茶入を飾っておく

まず、お点前を始める前の準備の段階の話しです。

お点前を始めるときには

  • 薄茶は水指を運ぶところから点前する
  • 濃茶は水指・茶入は飾って茶碗持ち出すとこから

点前の準備の段階でよくわからないと感じる人も多いと思いますが、私もそうでした。

理解するには、濃茶点前の準備を茶事で考えてみれば解りやすいと思います。

濃茶は中立のすぐ後に始まりますので、水指と茶入を飾った状態から始まるというのがイメージできると思います。

水指、茶入を飾ってから、お客様が「後入り」するという流れですね。

後座ではお客様は、点前座で水指や袋に入った茶入を拝見してから席に着きますよね。

点前をする前に飾っておくという事には、色々と深い意味もあったりしますが、とりあえず”お点前をするときには水指、茶入は飾っておくものだ”と思っておきましょう。

飾り付けられている台子をイメージしても良いかもしれません。

こう考えると”点前中に水指を運び出すという方が特殊なのだ”と感じることができると思います。

では、運びの薄茶では水指をナゼ運び出すのか?というと、”濃茶の終わりに水指を水屋に仕舞っている状態から点前を始めることになるから”です。

実際には濃茶の後には後炭がありますが、いずれにしても水指は水屋へ仕舞った状態です。

平水指などの水指をあえて置いておく場合もありますが、かなり例外なので畳に置かれた水指は最後には水屋に仕舞うと思っておきましょう。

ということで、濃茶の点前は水指と茶入は点前座に飾っておくことになります。

濃茶は必ず襖をしめる

濃茶の時には「炉」「風炉」を問わず襖を閉めてからお点前を始めます

建水、柄杓を持ち出して踏み込み畳に座って襖を閉めます。

参考までに、襖を開けたままお点前するのは「風炉の薄茶」と「風炉の炭手前」です。

これは単に覚えておけば良いことなので、難しいことは特にありません。

濃茶は最初のお辞儀は柄杓を引いたら総礼

  • 薄茶は茶道口で総礼
  • 濃茶は柄杓を引いたら総礼

裏千家の薄茶ではお点前を始めるときに茶道口でお辞儀をしますが、濃茶では点前のスタートに茶道口でのお辞儀はありません。

その代わりに、柄杓を蓋置に引いたタイミングで「総礼」があります。

柄杓を引いて総礼は薄茶ではやりませんので、その違いがポイントです。

茶入、仕服の扱いと四方捌き

茶入の扱いは濃茶の点前で初めて出てきますので、戸惑いはあるかもしれませんが

  • 「仕服の結び方・解き方」
  • 「四方捌き」
  • 「仕服を打ち返す方向・持ち方」

の3つを覚えれば良いので、覚えるポイントはハッキリしています。

そして、濃茶を習う時には多くの場合「肩衝茶入(かたつきちゃいれ)」で習うと思いますが、肩衝は横持ちをするのが約束です。

”肩衝は中次とまた同じこと 底に指をばかけぬとぞ知れ”という利休道歌がありますが、これは中次の持ち方と同じように、「胴を横手にかけて持て」という事です。

棗とはちがう持ち方をするよという事を言いたいのです。

そして「四方捌き(よほうさばき)」は濃茶で初めて出てくるので、しっかり覚えられるように先生に教えていただいてください。

さらに、茶入は「胴拭き」がありますので忘れないようにしましょう。

脱がした仕服は「持ち方と打ち返す方向」を覚えれば、そのあとにずっと通用する扱いなのでシッカリ覚える必要があります。

濃茶点前は塗蓋を拭く 順序と覚え方

濃茶のお点前では水指の蓋の上に茶巾を置くという所作が出てきます。

薄茶では水指の蓋の上に茶巾を置く所作は出てこないので、違いを覚えておくと良いと思います。

そして、塗蓋の上に茶巾を置くときには塗蓋を帛紗で拭きます

濃茶の点前における重要なポイントで、多くの人が忘れやすい&順番を間違いやすいので、注意をしておく必要があります。

そして、これらの所作の覚え方ですが

  • 茶筅置いたら、拭いて・引いて・乗せる です

これを呪文のように(笑)唱えて覚えればこの部分は完璧です。

少し解説します。

茶筅置いたら」というのは茶杓を清めて茶入の上において、茶筅を茶碗から出して置いた時のことを言ってます。

拭いて」というのは”帛紗で塗蓋を拭くこと”を言っています。

拭くときには、帛紗を左手で突いて半分にしてから拭きます。

もしも水指の蓋が塗蓋でない場合は、帛紗で拭く必要はないので「拭いて」の部分は飛ばします。

引いて」というのは”茶碗を膝前中央まで引くこと”を言っています。

茶入があった部分にスペースが空いているので、茶碗を中央まで引いておくのです。

これは薄茶の時にもやっている所作なので、問題ないかと。

乗せる」というのは”茶巾を水指の蓋の上に乗せる”ということを言っています。

炉の濃茶点前 最大のポイント「中蓋・中仕舞い」

炉の濃茶で一番の特徴は「中蓋・中仕舞い」があるという事です。

これだけ覚えておけば風炉から炉に変わったときの違和感はほとんど無い筈です。

  • 炉では茶筅通しの時に中蓋をする
  • 炉の問答の時には中仕舞いをする

炉の濃茶点前では「中蓋」をします。

中蓋というのは、茶筅通しの湯を茶碗に注いだあとに釜の蓋をキッチリ閉めておくことです。

かなり忘れやすい所作ですので、炉の時には意識しておくようにしましょう。

もちろん、風炉の濃茶では中蓋はしません。

また、中仕舞いというのは ”服加減を聞いたら、柄杓構えて釜の蓋をして、建水の方へ柄杓・蓋置を片付ける” ことです。

中仕舞いをしてから「茶銘・詰・菓子」の問答をするのです。

この中仕舞は炉のお点前でしかやりませんので、ポイントになります。

ちなみに、この「中仕舞い」という言葉は風炉の「本仕舞い・中仕舞い」の時にも使われる言葉ですが、炉の「中仕舞い」とは使われる意味が全く違いますので注意が必要です。

客の吸い切りを聴いたら居前に戻って、中仕舞いを解きます。

風炉の濃茶では水をさしてから湯を汲む

風炉濃茶 必ず釜に水さすと 一筋に思ふ人は あやまり”という道歌があるように、風炉の濃茶では必ずと思いたくなるくらいに水をさしてから釜の湯を汲んでお茶を点てます。

水をさす理由は、”風炉の時期はお茶を摘んでから1年ほど経ってお茶の気が弱くなっているのであまり高い温度でお茶を点てないようにする”という理由ですね。

ですから例えば、炉の時期(11月~4月)風炉のしつらえで濃茶を点てるという場合には水を差さないということになります。(風炉は1年中できますので)

また風炉の時期であっても、たいしてお湯が沸いていないという場合には水を指すことはしません。

要するに、臨機応変に対応しなさいということを道歌では言っています。

湯相を整えることが一番大事なことなんですね。

濃茶を点てる際にお湯を二度に分けて注ぐ

濃茶を点てる時には、二度に分けて茶碗に湯を注ぎます。

抹茶を入れた茶碗に1度目のお湯を注いで、練るような感じで茶筅で攪拌します。

お茶にテリが出てくる感じになったら、茶筅を左へ立てかけて湯を汲み、茶筅を左手で持って穂先に湯を掛けるように二度目のお湯を茶碗へ適量注ぎます。

濃茶が美味しく点てられるかどうかは最初のお湯の量が非常に重要になりますので、神経を使うポイントです。

薄茶のように何となくお湯を入れればオーケーじゃない?という感じではありませんので、微妙な加減を要求されるポイントです。

ちなみに、薄茶の時には二度に分けて湯を注いで点てる、という事はありません。

濃茶点前では古帛紗を出す

濃茶では樂茶碗以外の茶碗の場合には、古帛紗を添えて出します。

つまり樂茶碗の時に限って、古帛紗は必要ありません。

薄茶の場合には、古帛紗を添えて出すという事はありませんので、違いとして覚えておくべきポイントになります。

濃茶点前は正客との問答がある

濃茶では問答をするタイミングと内容はだいたい決まっています。

  • 服加減を聞く
  • お茶銘、お詰め、菓子について
  • 花や軸などについて

濃茶を点て、正客が一口飲むと亭主は服加減を聞きます。

そして客付きへ向くと、お茶銘・お詰、お菓子について、花・花入などについて正客から聞かれますので問答をします。

お茶銘・お詰めは御家元のお好みをまずは覚えるのがおススメです。

お稽古の場合には初座がありませんので、軸などについても聞かれたりします。

茶事で考えると他にも水指、建水、蓋置なども聞かれるのですが、お稽古ではそこまでの問答をする教室は稀だと思います。

茶碗についてはよく聞かれますので、濃茶に相応しい茶碗を考えておいた方が良いと思います。

濃茶のお稽古での問答の内容のまとめ

  • お茶銘・お詰め
  • 菓子の銘・菓子の製
  • 軸・花・花入
  • 茶碗について

を考えておけば十分です。

あらかじめどんな返答をするか、本などで調べておくと良いと思います。

茶入についての伝来や付属品など詳しく乗っている本がありますのでおススメです。

道具についての問答は四ヶ伝、奥伝などの上の点前を習うにしたがって、とても重要になってきますのでゆっくりでもだんだんと知識をつけていった方が良いと思います。

有名な茶道具を知ることはお茶の知識をつける上では必要です。

末客の吸い切りで水を一杓

濃茶の点前では末客の吸い切りを聞いたら、居前に戻って水を一杓釜に指して、帛紗を腰へ着けます

ここで水を入れるのはとても忘れやすい箇所なので、”濃茶を飲み終わったら水を入れる”と覚えておいたら良いと思います。

「炉」の場合には中仕舞いをしているので

  • 中仕舞いを解いて
  • 茶巾を釜の蓋へ移動して
  • 水指の蓋を開け
  • 水を一杓釜に指して
  • 帛紗を腰へつけます

このタイミングで入れる水を中水(なかみず)と言います。

中水は次に行う薄茶(茶事で考えて)のために入れておくという意味があります。

客が濃茶を飲み終わると水を入れるという事は、ほとんどの点前で共通事項なので、小習やさらに上の点前を覚える上でとても便利です。

例外的に水を入れない点前もありますが、かなり例外的になりますのでここでは説明しません。

ごちそうさまの総礼がある

お客様が拝見を終えた濃茶茶碗を返して、亭主が膝前に置いたら”ごちそうさまの主客総礼”があります。

ごちそうさまのタイミングでの総礼をするのが薄茶と違うポイントです。

薄茶の時には飲み終えた茶碗を膝前に置いて”主客総礼”というのはありません。

飲み終えた後のお客様は油断して総礼を忘れやすいので、注意しておくと良いと思います。

また、このタイミングで茶碗について客から聞かれることが多いですので、「茶碗の種類・作者」などを考えておいた方が良いと思います。

亭主からお仕舞いを言う

濃茶では亭主の方から「とりあえず、お仕舞いに致します」と言います。

逆に、薄茶では客の方から「お仕舞いにしてください」と言われます。

濃茶は一服で終わる(基本は)のに対して、薄茶の場合はお仕舞がかからない限り”何服でも”お客様へ点てることができるようになっています。

稽古では薄茶は1服で終わることが多いですが、何服も点てることができるように頭でシミュレーションをしておきましょう。

濃茶点前は必ず三器の拝見がある

濃茶の点前では必ず「お茶入・お茶杓・お仕服の拝見を」と、拝見を所望されます。

薄茶では拝見の所望があったり無かったりしますが、濃茶では必ず拝見の所望があるのが約束です。

拝見の所望をされるタイミングは水指の蓋を閉めた際ですので、薄茶との違いはありません。

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【濃茶点前の特徴】薄茶との違い その他

  • 菓子はすでに食べている
  • 濃茶は高級な抹茶を使用
  • 濃茶点前に使える道具というものがある

濃茶の点前の最中にお菓子を席中で食べることはありません(茶事では)。

お稽古ではその限りではありませんが。

これはお菓子は前席、つまり初座の懐石の後に既に出されていますので、濃茶の最中にはお菓子を食べないということです。

なので、薄茶では亭主が茶杓を持って「お菓子をどうぞ」と言っていた箇所は、濃茶では無言になります。

そして濃茶点前で使用する抹茶は、薄茶で使用する抹茶よりも高級な抹茶を使用します。

具体的に言えば、濃くても苦くない甘みの強いお茶を使うという事です。

濃茶というのは茶会のメインとなるお茶ですので、やはり良いお茶を使いたいところです。

さらに道具についてですが

濃茶の点前になると、「濃茶で使用できる道具」についての知識が必要になってきます。

運びの濃茶では水指は何が相応しいのか、茶碗はどんな茶碗が良いのか、などの知識を先生が教えてくださいますので、茶道での感覚・考え方を覚えられるようにしましょう。

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濃茶点前の特徴 まとめ

濃茶の点前では基本的な流れや道具の扱い・所作については薄茶とほとんど変わるところはありません。

重要なことは薄茶の稽古をしているうちに割り稽古、薄茶の流れ、順番、道具の扱いをシッカリと覚えておくことです。

濃茶点前では薄茶の点前との違いだけを覚えることで、覚える量の効率化を図れます。

濃茶点前をすることによって、薄茶の点前の分かっていないポイントがより明確になりますし、薄茶の点前をもっとよく知ろうという気にもなると思います。

そして最後に、本来もっとも大事なことは利休道歌にもあるように

濃茶には 点前をすてて一筋に 服の加減と 息をちらすな

ということです。

点前がどうのこうのではなくて、美味しいお茶を出すことを一筋に考えろということですね。

もちろん、美しくムダの無いお点前もご馳走であることは言うまでもありません。

濃茶のお点前は茶事の中心となるものですので、繰り返し稽古するようにしたいものです。

小習事 十六ヶ条【裏千家の茶道】点前の特徴
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