7月といえば、七夕と祇園祭!
という感じがしますね。
7月によく使われる銘と、茶道とのかかわりの深い7月の行事を勉強して、銘に対する理解を深めていきます。
茶杓など茶道具につけられる銘には気候や植物、年中行事が深く関わっています。
銘や年中行事を道具の取り合わせのヒントにすることができますので、色々な銘を知っておくと引き出しも増えます。
どんな意味の銘なのかという疑問もあると思いますので少し解説を付けています。
銘は茶杓だけではなく、茶碗や茶入さらにはお菓子などにも付いていますので、お稽古の時の問答の参考にしていただければと思います。
季節の銘ではなく無季のカタい銘が知りたい方は禅語や漢詩関連の銘の記事をどうぞ。
【7月の銘】茶杓などによく使われる銘

- 蝉 せみ
- 虹 にじ
- 鵲 かささぎ 七夕伝説では天の川の架け橋になる
- 納涼 のうりょう
- 涼風 りょうふう
- 七夕 たなばた、しちせき
- 銀河 ぎんが
- 天の川 あまのがわ
- 彦星 ひこぼし 牽牛、アルタイル
- 織女 しょくじょ 織姫、ベガ
- 星祭 ほしまつり 七夕祭
- 星祝 ほしいわい 七夕祭
- 星合 ほしあい 牽牛、織女の二星が逢うこと
- 星河 せいが 天の川
- 銀漢 ぎんかん 天の川
- 雲居 くもい 雲のある所、大空
- 白雲 はくうん 白い雲
- 白雨 はくう 夕立、にわか雨
- 村雨 むらさめ にわか雨 叢雨
- 流水 りゅうすい
- 夕立 ゆうだち
- 夏山 なつやま 青々と茂った山
- 稚児 ちご 幼い子 お祭にちなんで
- 舟遊び ふなあそび 納涼のために舟を出す
- 夏衣 なつごろも 夏の着物
- 蝉の羽 せみのは 軽く薄い夏の着物
- 緑陰 りょくいん 青葉の木陰
- 風鈴 ふうりん
- 夏祭 なつまつり
- 玉藻 たまも 藻の美称
- 瀑布 ばくふ 滝のこと
- 荒磯 あらいそ、ありそ 波の荒い海岸
- 荷葉 かよう 蓮のこと
- 宵宮 よいみや 祭の前夜祭
- 宵山 よいやま 祇園祭の前夜祭
- 青苔 せいたい 青い苔
- 清滝 きよたき 清らかな滝 景勝地にも
- 長刀 なぎなた 祇園祭にちなんで
- 夏神楽 なつかぐら 夏祭りに行う神楽
- 夏の月 なつのつき 夏の夜の月
- 夕涼み ゆうすずみ 縁側などで涼むこと
- 糸の滝 いとのらき 滝を糸にみたてている
- 苔清水 こけしみず 苔の間を伝わる清水
- 夏木立 なつこだち 夏に生い茂った木立
- 雲の峰 くものみね 山のようにそびえる入道雲
- 祇園囃子 ぎおんばやし コンチキチンで有名
- 祭囃子 まつりばやし
- 岩根の水 いわねのみず 岩の根元の清水
- 花扇 けせん、はなおうぎ 七夕に近衛家が宮中に献上した花
- 乞巧奠 きこうでん 七夕祭の原型
- 細蟹姫 ささがにひめ 織女のこと 笹蟹姫
- 八重葎 やえむぐら 雑草が生い茂った様子
- 氷室 ひむろ 氷を貯めておく室
- 三伏 さんぷく 酷暑の時期のこと
- 富士詣 ふじもうで 7月になると山開きになる
- 待宵 まつよい 待宵草の花は夏頃
- 夏座敷 なつざしき 涼しくしつらえた座敷
- 青東風 あおこち 夏の土用の青空に吹く東風 土用東風とも
- 朝凪 あさなぎ 朝に風が止んだ状態
- 夕凪 ゆうなぎ 夕暮れに風が止んだ状態
- 短夜 みじかよ 夏の短い夜
- 夏霞 なつがすみ 夏にたなびく霞
- 笹舟 ささふね
- 虫干 むしぼし 夏の土用頃に行われる 曝涼
- 水茶 みずちゃ 夏に冷水で点てる茶
- 夏草 なつくさ 夏に生い茂る草
- 常夏 とこなつ 撫子の古名
- 布引 ぬのびき 滝のイメージ
- 酸漿 ほおずき 各地でほうずき市が開かれる
- 滝川 たきがわ 谷間の急流
【7月の銘】旧暦七月の異名

七月の異名を知ると道具の銘を考えるときの参考になりますので、どんな異名があるのか勉強してみましょう。
- 文月 ふづき、ふみづき 稲の穂の含月から
- 穂含月 ほふみづき 稲穂が実ることから
- 七夕月 たなばたづき 七夕祭を行うことから
- 七夜月 ななよづき 七夕のある月の意
- 愛逢月 めであいづき 織女、牽牛が逢う月
- 申月 しんげつ
- 建申月 けんしんげつ
- 親月 ふづき 親の墓参りをする月
- 女郎花月 おみなえしづき 女郎花が咲く月
- 蘭月 らんげつ
- 蘭秋 らんしゅう
- 冷月 れいげつ 月の光が涼しく見える
- 涼月 りょうげつ 月の光が涼しく見える
- 肇秋 ちょうしゅう 秋のはじめ
- 桐月 とうげつ 桐の葉が落ちることから
- 文披月 ふみひらきづき、ふみひろげづき
- 相月 そうげつ、しょうげつ
- 秋初月 あきはづき 秋の最初の月
- 孟秋 もうしゅう 秋の最初の月
文月は陰暦七月で、旧暦としては秋の最初の月ということになります。
七月の異名を眺めると、「そろそろ秋の風情が感じられる」というような意味合いの名前が多いです。
現在の7月は、まだまだ夏真っ盛り!という感じですのでやはり旧暦とは少し違和感がありますね。
陰暦七月は盂蘭盆会があり祖先の墓参りをする月でした。
現在では新暦8月をお盆とする地域が多いです。
【7月の銘】 二十四節季と七十二候
暦は銘をつける際にとても参考になります。
7月の二十四節季と七十二候について少し見てみましょう。
夏至 げし 6月21日~7月6日頃
夏至は昼の長さが一番長い日
- 乃東枯 なつかれくさかるる 6月21~26日頃
- 菖蒲華 あやめはなさく 6月27~7月1日頃
- 半夏生 はんげしょうず 7月2~6日頃
小暑 しょうしょ 7月7日~22日頃
暑さがだんだん厳しくなり、そろそろ梅雨明けに
- 温風至 あつかぜいたる 7月7~11日頃
- 蓮始開 はすはじめてひらく 7月12~16日頃
- 鷹乃学習 たかすなわちわざをならう 7月17~22日頃
大暑 たいしょ 7月23日~
大暑は暑さが最も厳しい時期という意味
- 桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ 7月23~28日頃
- 土潤溽暑 つちうるおうてむしあつし 7月29~8月2日頃
- 大雨時行 たいうときどきふる 8月3~7日頃
7月の年中行事・雑節

7月の行事を知ることで、道具の銘を考える上での参考になればと思います。
祇園会・祇園祭
京都八坂神社の祭礼で7月1日~31日まで行われます。
かなり多くの行事があるので、祇園祭の神事を追いかけて観覧してみるのも面白いと思います。
祇園祭は千年以上の歴史があり、日本三大祭の一つ。
16日に宵山(前夜祭)があり、17日には有名な山鉾巡行があります。
八坂神社では表千家、裏千家の家元が毎年交代で献茶式を行っています。
七夕
中国の七夕伝説が日本の棚機(たなばた)津女と合わさって、女子の手芸上達を願う祭となりました。
七夕の日には乞巧奠といって、お供え物を並べて織女に手芸の上達を願う儀式がありました。
また、里芋の葉の露ですった墨で梶の葉に歌を書いて、歌や書の上達を願うという事も行われました。
七夕祭は旧暦七月の行事なので、じつは秋の行事になります。季語としても七夕は秋の季語です。
となると、「七夕に関する銘は現在の7月に使うのはあまりよくないのだろうか…」とか考えたり。。なんとも難しいところですね。
仙台の「七夕まつり」は8月に行われています。
夏の土用 土旺用事
土用は1年で4回ありますが、夏の土用は丑の日に「う」のつくものを食べると夏バテに良いという事でなじみがあります。
ウナギをこの日に食べる人も多いですね。
夏の土用は立秋の前18日間のことですので、だいたい7月下旬から8月上旬あたりになります。
土用の最後の日の節分が終わると、暦としては秋が始まります。
中元
もともと陰暦七月十五日が中元の日。
中元の時期にお世話になった方へ贈り物をする習慣が江戸時代に定着して、これをお中元と言っています。
中国の盂蘭盆会が道教の中元と合わさって、日本ではお盆の行事になっているようです。
東京では7月がお盆ですが、大多数の地域では8月がお盆になっています。
納豆造り 寺納豆
禅院では7月~8月にかけて納豆を作ることが多かったようです。
大徳寺納豆は非常に有名。ほかに京田辺の一休寺納豆、嵐山の天龍寺納豆、浜松の浜納豆もあります。
ちなみに寺納豆と言われるものはネバネバしていません。
氷室の節会 (氷の朔日)
6月のところでも書きましたが、陰暦六月一日、宮中で氷室の氷を食べる行事である氷室の節会というのがあります。
陰暦六月朔日は今の7月10日頃になったりします。
という事で以上、七月の銘とお茶に関連する歳時記についてでした。
八月の銘についてはコチラをどうぞ↓

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