小習事十六ヶ条 点前の特徴【裏千家の茶道】

風炉と釜お点前

薄茶、濃茶、初炭、後炭を一通りできるようになると、裏千家茶道では小習というものを習います。

小習は十六ヶ条あって、「前八ヶ条」と「後八ヶ条」に分かれています。

前八ヶ条

  1. 貴人点(きにんだて)
  2. 貴人清次(きにんきよつぐ)
  3. 茶入荘(ちゃいれかざり)
  4. 茶碗荘(ちゃわんかざり)
  5. 茶杓荘(ちゃしゃくかざり)
  6. 茶筅荘(ちゃせんかざり)
  7. 長緒茶入(ながおちゃいれ)
  8. 重茶碗(かさねちゃわん)

後八ヶ条

  1. 包帛紗(つつみぶくさ)
  2. 壺荘(つぼかざり)
  3. 炭所望(すみしょもう)
  4. 花所望(はなしょもう)
  5. 入子点(いれこだて)
  6. 盆香合(ぼんこうごう)
  7. 軸荘(じくかざり)
  8. 大津袋(おおつぶくろ)

16種類もあると全部覚えるのはとても難しいですが、点前ごとにグループ分けをすると手順などが覚えやすくなります。

濃茶の点前の理解がイマイチという方はこちらの濃茶の点前についての記事を読んでみてください。

濃茶点前の「順序・特徴」の覚え方 薄茶との違いが簡単にわかる【裏千家の茶道】
濃茶の点前は薄茶の点前と比較して何が違っているのかを知ることでお点前は格段に覚えやすくなります。また、異なるポイントを理解することで、薄茶の点前に対する理解も深くなります。濃茶点前を効率的に覚えられるように、薄茶との違いを見ていきましょう。
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小習十六ヶ条の点前の特徴

小習は「お人に対して」の点前や作法である、ということが特徴です。

小習以降に稽古する「四ヶ伝」や「奥伝」はだんだんと道具に重きを置いた点前になっていくので、基本的な道具の扱いや、点前手順、作法などは小習の段階で学んでいくことになります。

小習に対しての理解が深まると、臨機応変な対応が求められるということがわかりますが、とりあえずは教本に載っている基本を身につけることが大切です。

臨機応変の対応というお茶の醍醐味に触れることができる小習ですが、とても奥が深く、一見簡単そうに見えて実は難しいものです。

そして、小習は実際の茶事で行うことも多く、茶事での実践がしやすい習い事と言えると思います。

貴人点・貴人清次の特徴

貴人点(きにんだて)は貴人ひとりに対してお茶を点てる場合にするお点前、貴人清次(きにんきよつぐ)は貴人とお供の方に対してお茶を点てるお点前になっています。

貴人点は取り次ぐ人間が必要となりますので、半東が席中に入りお茶や御覧いただく道具の取り次ぎをします。

貴人点も貴人清次も、薄茶、濃茶があります。

貴人というのは高貴な方ということですが、現在では身分制度はありませんので、目上の方にお茶を差し上げるときにどのようにしたら良いのかという意味で、このお点前を捉えたら良いと思います。

貴人とお供に使う道具は別のものを使用し、貴人に対しては基本的に新品の道具を使用します。

部屋は広間で、棚や台子などを据えて、格調高い設えにします。

貴人は貴人口を使用したり、腰掛待合の構造が違ったりと、貴人を迎えるということに特別な配慮が色々とあったのだということを、このお点前を習う際に知ることができます。

茶入荘・茶碗荘・茶杓荘・茶筅荘の特徴

茶筅荘

茶入・茶碗・茶杓・茶筅荘は拝領した道具や由緒のある道具、また当日の連客から頂いた道具を披露するときの扱いを学べる習い事です。

問答ではご由緒を聞くことになりますので、いつもの問答とは若干異なる配慮が必要になったりします。

茶事になると、茶入・茶碗・茶杓荘の場合は初座で床の上に帛紗を敷いて荘ることになります。

荘ものをすると、床の上には何が乗るのが相応しいのかということが、おぼろげながら見えてくるのもポイントですね。

点前手続き的には、濃茶を十分に理解しておかないと、違いが良くわからず覚えづらいところがありますので、濃茶のお点前を振り返っておくと覚えやすいです。

通常は運びの濃茶で行い、棚や台子は使用しませんが円能斎時代の教本をみると、「長板にては苦しからず」と書いてあったりします。

水指の上に茶筅荘をしますので、水指の口の上に蓋が乗るような形状の水指を使用して、蓋は塗蓋を使用する必要があります。

薄茶の〇〇荘というものもありますが、現在の教本に載っていないということもあり、一般的に教えてもらえることはあまりありません。

「茶入荘・茶碗荘・茶杓荘・茶筅荘」点前の覚え方・特徴 荘り物をいっぺんに覚える
裏千家小習の「茶入荘・茶碗荘・茶杓荘・茶筅荘」の特徴を点前の流れに沿って比較しながら、ポイントを解説しています。 似たお点前を横並びにして違いを知りながら稽古すると、お点前の違いを理解しやすくなります。

長緒茶入の特徴

長緒茶入

長緒茶入という点前は茶入の仕服についている緒が長緒の場合に行う点前で、長緒の扱いを覚えるお点前です。

長緒の扱いは御物袋にも必要ですし、奥伝の天目仕服の扱いの基礎となるものですので、非常に大切な扱いです。

昔は茶入の緒はすべて長緒だったそうですが、利休だか珠光だかが短緒を流行らせたということで現在は短緒が主流となっています。

手前手続きとしては勘違いして間違ってしまうポイントがいくつもあり、攻略しがいのあるお点前となっています。

ノーミスで出来る人はかなりお稽古してる人だと思います。

重茶碗の特徴

重茶碗はお客の人数が多い時のお点前で、二碗を重ねて持ち出すというやり方の濃茶のお点前です。

席中に二碗出ることになるので、正客のタイミングを読む能力が試されます。

お客様役の人も気が抜けません。

また重茶碗は、人数が多くなくても特別な事情により敢えて茶碗を二碗持ち出したり、重ねて持ち出すことができない茶碗の場合にも応用できる方法があったりと、とても奥の深いお点前になっています。

さらに、濃茶を二服点てるという点で他のお点前と共通する点など、覚えどころは満載です。

包帛紗・大津袋の特徴

包帛紗大津袋は似たお点前ですので、一緒に覚えると良いと思います。

この二つのお点前は棗で濃茶をするというのが最大の特徴です。

棗での濃茶は千家の茶道の特徴といえますので、千家のお茶を学ぶ者にはとても重要な意味を持っているお点前ではないでしょうか。

使う棗は基本的に黒棗となりますので、黒棗に対する目利きができるようになりたいものですね。

点前手続き的には包帛紗は棗の包を解くところがクライマックスなので、きれいに四つ折りにできるようにしたいところです。

大津袋の点前は大津袋の扱いを覚えるということがメインの課題になると思います。

大津袋は通常紫のちりめんでできていますが、白や茶もあります。

壺荘・軸荘の特徴

壺荘は壺が床に荘られているときの主客の作法について学ぶ習い事です。

壺の拝見のしかたや壺の扱いについて学ぶことができます。

口切の茶会の時には必須ですので、十分に理解しておきたいですね。

ちなみに、壺にすでに紐かざりがしてある場合は客の方から拝見を請うことはできません。

軸荘は軸が宸翰や高貴な方の筆跡、または名物の場合などに行う習い事です。

席入りの時には軸は掛けられておらず、床の上に帛紗を敷いてその上に軸が荘られます。

このとき軸の外題を上にして荘りますので、外題荘とも言います。

沓脱石に奉書がおかれていたり、名香が焚かれたりとご宸翰の茶事には特別な配慮があったりするというのはとても興味深いところですね。

利休好の白菊の扇子を使って軸をかけるのが習いですが扱いが非常に難しいので、個人的には本番では矢筈で掛けたいなぁと思ったり(笑)します。

壺荘、軸荘ともに茶事でいうと初座の動きですので、お茶を点てたりはしません。

炭所望・花所望

炭所望は”お客様に炭をついでもらう”という習い事です。

わざわざお客様に炭をついでもらうので、炭巧者がいるとか、到来ものを使うなどいろいろと理由があったりします。

風炉・炉どちらも炭所望がありますが、風炉には初炭所望しかありません。

風炉では灰形が崩れていない初炭の時に所望をするということですね。

花所望は”お客様に花を入れてもらう”というものです。

花入が名物であったり、花の上手い人がいたりするときに所望したりすることがあります。

所望されたときの手続きはもちろん覚えなくてはなりませんが、どのような作法や心持ちで行うものなのかということが非常に重要になってくると思います。

花所望をされた側は敢えて水を入れない、というような気づかいを何事にも実践し、感じ取れるようになるとお茶が面白くなってくるのかもしれません。

入子点の特徴

入子点はお茶を点てる小習では珍しく、薄茶のお点前です。

曲げの建水に茶碗を仕組んでから持ち出し、お点前をします。

点前座に道具を運ぶのは1回で済むので、運びの困難な人や、幼くて道具の持ち運びが危なげな人がするお点前とされています。

表千家さんの習い事にも建水に茶碗を入れて使用するお点前があるので、そのお点前との関係性も気になるところです。

入子点は必ず棚ものを使用してのお点前になり、木地は新品の曲げの建水を使用します。

お点前が終わると、総荘になりますが水はつぎません。

盆香合の特徴

盆香合

盆香合は由緒のある香合だったり名物を使用する際、盆に香合を載せて使う扱いを学ぶ炭手前です。

小習では基本的に出てこない「鐶付(かんつき)の位置」という概念が盆香合では出てきます。

初炭ですが、釜に水を次ぐので「釜を改め水を次ぐ」という意味を考えさせられるお点前になってます。

ちなみに盆香合のあとに後炭をするときには、同じ香合は使いません。

レア感が少なくなりますからね。

名物の香合というのはどんなものがあるのか、という勉強をするキッカケになるお手前です。

形物香合番付について知る良い機会になると思います。

小習十六ヶ条の特徴まとめ

小習十六ヶ条は16種類も!と思いますが、炉・風炉がありますので実際は32種類あります(;^_^A

そして実はパターンは炉・風炉だけではなくもっともっとたくさんあります。

たとえば、貴人清次だけでも薄茶・濃茶が炉・風炉あるので基本だけでも4パターンあります。

さらには部屋の大きさが変わったり、台子を使う時にも点前手続きが変わってきたりするので、細かくパターンを挙げればキリがないほどあるかもしれません。

そんな感じで細かくカウントしていくと、数が多くワケがわからなくなりそうですので、似ている点前で9つのグループに分けてみました。

  • 貴人点・貴人清次
  • 茶入・茶碗・茶杓・茶筅荘
  • 長緒茶入
  • 重茶碗
  • 包帛紗・大津袋
  • 壺荘・軸荘
  • 炭所望・花所望
  • 入子点
  • 盆香合

これだけ多くのお点前を別々に記憶するのはかなり難しいですので

  • 点前の共通点や
  • 基本的なルール

を覚えておくようにすると良いと思います。

例えば、貴人点系統と荘もの系統のお点前の共通点や、濃茶を二服点てるときのお点前のルールなどを知っておくとさらに点前に関する理解が深まると思います。

共通点や基本的なルールは別の機会に書こうと思います。

ということで以上、小習事十六ヶ条 点前の特徴【裏千家の茶道】という話しでした。

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