【漆の名工】茶道をしてたら知っておきたい「お塗り」 じっくり拝見しないと損します 薄器のお作

茶道具
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今回は茶道具で登場する漆関係のThe名工な職人・作家さんたちです。

前回は漆関係の人間国宝の方を紹介しましたので、今回は茶の湯の黎明期くらいの人から現代より少し前くらいの方までズラッと紹介します。

茶道具は古い道具もたくさん出てきますので、昔の名工を知っておくと時代のロマンを感じて非常に興味深く鑑賞することができると思います。

初心者でも知っている宗哲以外にも有名な職人は実はたくさんいますので、あまりよく知らない人はぜひ名前だけでも見ていってください。

※茶道具では「あまり登場してこないかなぁ~」と感じる幸阿弥家とか五十嵐家とかその他の名門・名工は私の独断と偏見により記載しておりませぬ~。

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室町~安土桃山時代の【漆の名工】

茶の湯が絶頂期を迎える頃の名工たちです。
長くお茶をしている人ならこの時代の人物の名前はお稽古で聞くかもしれません。
茶事や茶会で拝見できる機会があれば、よくよく観察したいものです。

羽田五郎 はねだごろう

薄茶器としておなじみの棗形の茶器を最初に作ったともいわれる塗師。
漆の茶道具の作者として出てくる塗師としては最初の人物といわれる。
端が矢筈になった四方盆(羽田盆)は羽田五郎が作ったとされる。
実在していたのか??なところもあるが、羽田五郎作として伝世している物はわりに多い。

桐村 きりむら

武野紹鴎時代に活躍したといわれる塗師・竹器師。
帽子茶器で有名だが現存する作品は少ない。
桐村造の彫り銘。

堺春慶 さかいしゅんけい

室町時代の塗師で春慶塗を始めたとされる人物。
金輪寺を作ったとされるが、現存する作品は少ない。

盛阿弥 せいあみ

利休の塗師として名高い。3代続いたとされる。
秀吉から天下一の称号を許され、作品の底には「盛」の針彫りがされている。
利休が盛阿弥に「棗は滓をまぜてざっと塗れ 中次は念を入れて真に塗れ」と言ったという話しが残っている。

記三 きぞう

京都の人。紹鴎、利休時代の塗師。
注文内容を指示する利休の書状が添っている記三作の手桶が現在も残っている。
「記」や「記三」の針彫りがある。

余三(余参)よぞう

京都の人。紹鴎・利休時代の塗師。
天正11年歿という説がある。
利休が「記三・余三が塗棗は見事過ぎておもくれたり」と言ったという話がある。

秀次 ひでつぐ

姓は篠井、奈良の人。6代続いたとされる。
2代秀次は利休時代、天下一の称号を受ける。
針彫りで「秀次」「秀次作」と署銘される。

藤重 ふじしげ

藤重は姓で、名は父:藤元、子:藤巌。利休時代の人。
中次を考案し、「中次は藤重、秀次がよし」と利休が言ったとされる。
大阪城落城の時に破損した名物茶器の修復を藤重親子が命じられ、褒美として付藻茄子・松本茄子を拝領した。
「藤重造」の針彫り。

江戸時代の【漆関係の名工】

江戸時代の漆の茶道具の名工たちです。
江戸時代の物であれば、茶会でお目にかかれる機会もわりにあるはずです。

本阿弥光悦 ほんあみこうえつ

日本最高最強のマルチアーティストかつプロデューサー。
本業は刀剣鑑定だが、作品は多岐にわたり国宝・重要文化財になっている物も多い。
硯箱の「舟橋蒔絵硯箱」は国宝。

尾形光琳 おがたこうりん 1658-1716

光琳は画家だが漆工芸の作品に国宝がある。「八橋蒔絵螺鈿硯箱
絵画・屏風・陶器の作品が多い。
尾形乾山の兄。

関宗長 せきそうちょう

元伯宗旦の塗師。京の人。
それまで針彫りでしていた署銘を漆書きにしたのは宗長からと言われる。
棗が名高く、宗長棗と言われる。

近藤道恵 こんどうどうえ

京の人。加賀前田家の塗師で明治まで続いた。
遠州、石州の好み物も作る。
作品には「恵」の書銘がある。

満田道志 みつたどうし

京の人。遠州の好み物もある。
遠州の茶会で茶頭も務め、いじ塗の名工ともいわれる。
明治まで道志の家業を継いだ。

堅地屋清兵衛 かたじやせいべえ

江戸時代前期から昭和まで続いた京烏丸の塗師。
松尾流の塗師も務める。通称「堅清」。

飛来一閑 ひきいっかん

初代は中国の明出身で京都に住み、一閑張を始めた。
元伯宗旦に認められ好み物がある。
飛来家は千家十職の一つに数えられる。

岸一閑 きしいっかん

飛来一閑の娘の嫁ぎ先の岸田家の人。
一閑張を生業として明治時代まで続いた。
作品には「岸」の朱書き。

駒沢春斎 こまざわしゅんさい 1770-1855

駒沢利斎の7代。指物だけでなく、漆での作品も多い。
駒沢家は千家十職の一つ。

遠阪宇兵衛 とおさかうへえ

江戸中期から後期の京の人。
薮内流の塗師で号は宗仙。半四郎の名でも作っている。
塗師の家は大正頃まで続いたとみられる。

永田友治 ながたゆうじ

江戸中期の京・大阪に住み、謎が多いと言われる蒔絵師。
光琳風の意匠を得意とする。
合金の蒔絵が多い。書き銘で「友治」「青ゝ子」「方祝」。

戸沢左近 とざわさこん

江戸中期の塗師というか木地師。老松茶器など千家の好み物をつくっている。
塗物の薄茶器も多く作っているので目にする機会はわりに多い。
「左近」の彫り銘

長野横笛 ながのおうてき

江戸後期の摂津出身、京の蒔絵師。
初代、二代とも名工といわれるが、江戸後期頃には途絶えた。

中山胡民 なかやまこみん 1808-1870

江戸後期の江戸の蒔絵師。
原羊遊斎に師事し、茶道具を多く制作。
小川松民は門人。

原羊遊斎 はらようゆうさい 1772-1845

江戸後期の江戸で活躍した蒔絵師。
当代一の名工といわれ、光琳風の作品を多く作り、不昧の好み物も制作。
中山胡民、漆壺斎は門人。

小島漆壺斎 こじましっこさい  -1830

小島家初代は京の堅地屋清兵衛の次男で、松江藩に招聘されて塗師棟梁となる。
小島家5代(初代漆壺斎)が江戸に出て羊遊斎に学ぶ。
その腕が松平不昧に気に入られ、漆壷斎の号を賜りその後代々が名乗る。

山本春正 やまもとしゅんしょう 1610-1682

江戸前期の京の蒔絵師、号は舟木。
研出蒔絵の名手でいわゆる春正蒔絵と呼ばれる。
5代には名古屋に移り、10代まで続いた。茶器が多い。

玉楮象谷 たまかじぞうこく 1806-1869

江戸後期の讃岐の漆工。
蒟醤・彫漆などの技法を確立させ、今日に至る香川漆器の土台を築く。

佐野長寛 さのちょうかん 1791-1863

江戸後期の京の塗師。
諸国を回って修行し、技を習得。
色漆や蒔絵にも優れた近世の名工。

小川破笠 おがわはりつ 1663-1747

江戸中期の漆工。伊勢生まれ。
俳人で画家で漆芸もした。芭蕉の門人。
光悦に私淑し陶片、鉛などを象嵌する技法は破笠細工と呼ばれ非常に名高い。

松ケ枝不入 まつがえふにゅう

江戸後期の尾張の漆工。
松平不昧好みを多く制作したが、一度も松江に行かなかったので、不入の名前がある。
晩年は京都の神楽岡に住んで、神楽岡不入と名乗る。 

塩見政誠 しおみせいせい 1645-1719

江戸中期の京の蒔絵師。
研出蒔絵に秀で、塩見蒔絵と呼ばれ名高い。
2代からは江戸に移り住む。

勝軍木庵光栄 ぬるであんみつひで 1802-1871

江戸後期の松江藩の蒔絵師。
将軍家蒔絵師の梶川清川に師事して精緻な印籠蒔絵の技を習得。
松江藩に帰り、9代藩主松平斉貴に取り立てられ勝軍木庵の号を賜る。

近代の【漆関係の名工】

明治期あたりに活躍した漆芸の名工といわれる方々です。

柴田是真 しばたぜしん 1807-1891

江戸後期から明治の蒔絵師で絵師。古満家の門流に師事。
帝室技芸員に任命される。海外での評価が非常に高く愛好者も多い。
門人の池田泰真も帝室技芸員となる。

小川松民 おがわしょうみん 1847-1891

江戸後期から明治の蒔絵師。中山胡民に学ぶ。
東京美術学校の初代漆工科教授となり後進の指導にあたる

白山松哉 しらやましょうさい 1853-1923

幕末生まれ、江戸出身の漆芸家。極めて緻密な研出蒔絵で名高い。
東京美術学校で指導し、帝室技芸員にも任命される。
明治から大正にかけて活躍した。守屋松亭は門人。

渡辺喜三郎(二代)わたなべきさぶろう 1869-1943

元は京都の塗師の家で江戸時代に江戸に移る。
木地が薄く茶道具らしい非常に繊細でシャープな塗り。
鈍翁他の数寄者との親交が深く、茶道具をよく制作した。

堂本漆軒 どうもとしっけん 1889-1964

明治生まれ、京都出身。
日本画家の堂本印象は弟。
堂本兄弟と言えば日本美術ではコッチ。

守屋松亭 もりやしょうてい 1890-1972

京都出身。東京で白山松哉の門下に入る。
非常に緻密な蒔絵で名高い。
茶道具を多く作り、数寄者との親交も多い。

茶道具でも登場する漆の名工 まとめ

茶道具でもよく出てくる室町時代~明治時代くらいの漆関係の名工をご紹介しました。
よく出てくるとはいっても、昔の職人なので人生で何度も出会えるわけではないとは思いますが。。。

さび道具を使う茶会や茶事に出てくる漆関係の有名人はおおかた挙げられたのではないかと思います。
多すぎて真面目に見てきた方はお腹いっぱいになってしまったかもしれません。

彼ら作の作品が実際に出てきたら、よくよくじっくり観察することをお勧めします。
モノを見た方が覚えられますのでね。

非常に、とっても、極めて、すご~く、貴重な道具だと思いますので拝見させてもらった感謝の気持ちをご亭主に伝えると良いのではないかなと思います。

できたら細部まで色々見たいところではありますが、手に取って観察するのは覚悟しておいた方が良いです。
ちなみに私なら触れて見ることは怖いので、知り合いの道具屋さんの商品でなければ触らないと思います(;^_^A

漆の名工といわれる方々は、古い作品の修復もよくやって修行したといわれることが多いですので、貴方のお持ちの古い作品の修復を、現在の名工予備軍に依頼するのは将来的な漆文化のために良いのかもしれないなと思ったりします。

もしくはなるべく本物の漆製品を購入するというのも良いかと。

以上、「【漆の名工】茶道をしてたら知っておきたい「お塗り」 じっくり拝見しないと損します 薄器のお作」という話しでした。

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