【柄杓とは】茶道で必須 ”炉・風炉”用だけじゃない 茶人の好みによって種類は様々

釜と柄杓茶道具

柄杓は水、湯、汁物を掬うための道具で、昔から日本人の生活には必須の道具です。

茶道の世界でも柄杓は無くてはならない道具の一つです。

千家の茶道をしている者にとっては、お点前で使う柄杓と言えば

  • 炉用柄杓
  • 風炉用柄杓
  • 差通し柄杓

という3種類しかないような気もしてしまいますが、実際にはもっと多くの柄杓があります。

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【柄杓の種類】千家流の茶道で使う柄杓

千家流のお点前で使う柄杓は竹製で、現在は三千家共通となっており正玄形という柄杓になっています。

”正玄”というのは千家のお茶をしている人にはおなじみ千家十職の中の一人として知られている、

柄杓師・竹細工師の「黒田正玄」 のことです。

正玄の作る正玄形が、今の千家の茶道で使う柄杓という事になります。

実際には、正玄の柄杓はとても高価ですから、私のような一般人には手の届かない柄杓ですけれども。。。

茶道の点前で使用する柄杓は大きく分けて2種類あります。

  • 月形 (つきがた)
  • 差通し(さしとおし)

”柄(え)”の部分と”合(ごう)”の部分をつないでいる部分が、月形になっているか、差し通しになっているかの違いがあります。

正玄形の”風炉用柄杓”と”炉用柄杓”は月形柄杓の仲間で、台子で使用する”差通し柄杓”はもちろん差通しの仲間です。

下に柄杓の寸法を書きましたが、実際この寸法通りになっている柄杓はそんなに多くないんじゃないかと思います。

私が持っている柄杓をいくつか測ってみましたが、ピッタリな物は無かったです。正玄作じゃないですし。。。

風炉柄杓 寸法など

それぞれの部位で寸法が決まっています。

  • 合の内径  1寸7分半~8分半(約5.3㎝~約5.6㎝)
  • 柄の節上  5寸8分(約17.57㎝)
  • 柄の節下  5寸5分(約16.66㎝)
  • ハネ    7寸  (約21.21㎝)

  ※ハネは畳に合を水平に置いた時の、畳から切止(きりどめ)までの高さ

風炉の柄杓は切止が身の方をナナメに切ってあります

風炉の点前では柄杓の置き方の扱いに

  • 置柄杓 おきびしゃく
  • 切柄杓 きりびしゃく
  • 引柄杓 ひきびしゃく

があります。

置き柄杓は湯を汲んだ後の置き方、切柄杓は抹茶にお湯を注いだ時の置き方、引き柄杓は水を汲んだ後の置き方です。

取り方は水を汲むときの”取り柄杓”と、お湯を汲むときの”特に名前の付いていない取り方”があります。

炉柄杓 寸法

炉柄杓
炉用柄杓
  • 合の内径  1寸9分~2寸(約5.75㎝~約6.06㎝)
  • 柄の節上  5寸7分(約17.27㎝)
  • 柄の節下  5寸5分(約16.66㎝)
  • ハネ    8寸  (約24.24㎝)

炉の柄杓は風炉よりも合が大きいのが特徴です。

なぜなら、炉になると釜の口のサイズも大きくなっているので。

風炉柄杓とは反対に、切止は皮目の方をナナメに切ってあります(画像参照)。

差通し柄杓

  • 合の内径  1寸8分~8分半(約5.45㎝~約5.6㎝)
  • 柄の節上  5寸8分(約17.57㎝)
  • 柄の節下  5寸5分(約16.66㎝)
  • ハネ    6寸5分(約19.69㎝)

差通し柄杓は古式の形と言われ、今は台子、長板の杓立に飾る場合に使用されます。

昔は風炉・炉の区別があったそうですが、今は風炉・炉兼用で切止が垂直に切られています。

合の中の柄(え)の先が合の向こうまで届いている(差通しになっている)のが特徴です。

※風炉・炉 兼用について

切止が垂直に切られているものは炉風炉兼用の柄杓です。

差通しでなくても兼用の物が昔は普通に存在したそうです。

【柄杓の種類】茶人の好み

茶道で使用する柄杓は元々、釜の口径に合わせて作られていた物で、好みによっても色々な形、大きさの柄杓がありました。

なんでも、これまで100種類以上の柄杓が存在したそうです。

さて、過去の名人と言われた茶人の好みの柄杓はどんなものだったのでしょうか。

柄杓で自分の色を出すなんて、茶人というのはコダワリがすさまじいですよね。

利休好

利休は釜に合わせて「十二の形」を決めているそうです。

  • 雲龍釜用 大中小
  • 阿弥陀堂釜用 大小
  • 尻張釜用 大小   などなど

また、利休在判の柄杓を写した

  • 利休判の形

と言われるものがあります。これは大・中・小の3種類で風炉・炉兼用

いろいろなサイズの釜に対応できるようになっているようです。

他にも

  • 蓮形指形」(れんげさしがた)

切止が垂直に切られ、炉風炉兼用。月形を持ちつつ差通しになっている、という複雑で随分とオシャレなデザイン。

珠光形・紹鴎形

合が太鼓胴になっていて、合の底に皮目があるのが特徴。

太鼓胴というのは合の真ん中あたりが和太鼓のように膨らんでいるような形のこと。

和太鼓の画像で何となくイメージしてください。

合の底は普通の柄杓は表面をすべて削っているのに対して、少し竹の節の表面が残っている形です。

わざとなのか、そうなっちゃっただけなのかわかりませんが、今でもたまにそういうの見ますね。

織部形

織部の好みの柄杓は、合が織部茶碗に似てつぶれたような楕円形になっています。

織部はどうしても真円はイヤ(笑) なようですね。

イメージ通りな織部好みの形になってます。

元伯宗旦好

いわゆる塗柄になっていて、朱塗り。還暦用と言われる。

塗柄」というのは、柄の皮目でない方の部分に漆を塗ってあるタイプの柄杓です。

また、元伯好みには柄の太い太柄形というのもあります。

一阿弥形

一阿弥というのは秀吉から天下一とみとめられた柄杓の名工で、初代黒田正玄の師と伝わっています。

合の形が”つぶれた三角形”の様になっていて、織部好と少し似ています。

ちなみに昔の柄杓師では

  • 義政時代  恵比須堂
  • 紹鴎時代  養仙坊
  • 利休時代  厄川、仙三郎、一阿弥

などの名前が残っているようです。

遠州好

遠州好みの柄杓は、千家で使用する柄杓とは切止めの形状が逆になっています。

風炉の柄杓は皮目の方をナナメに切ってあり、炉の柄杓を身の方をナナメに切ってあります。

また合の大きさが大きいのが特徴です。

千家で使用するタイプがスタンダードというわけではないのです。

宗和好

宗和好の柄杓は柄が三角形になっているのが特徴的で、手にフィットしそうな形になっています。

今でいう人体工学によるデザインみたいな感じ。まぁ江戸時代なのでそんなことないですけど。

三角形の鉛筆の形をイメージしてもらえると解りやすいかなと思います。

また、合が底面取りになっている柄杓もあります。

柄杓の形まとめ

柄杓にはかなりたくさん色々な形があります。

お茶に少し慣れてくると、今まで見たこともないものを見て

「変な形だ、おかしい!」

なんて思うかもしれませんが、いろんな流派やお好みがありますので注意してください。

自分が知らないだけかもしれませんよ。

ということで、今回は茶道の点前で使う柄杓の話しでした。 

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