今回は初夏から晩夏あたりまでに茶花として使われる植物の異名・別名を集めました。
茶杓の銘のみならず、茶入や茶碗などの銘として使うのもオシャレかと思います。
植物の異名を銘にすると知的でオシャレに感じるのはなぜなんでしょうか。
牡丹(ボタン)の異名 4・5月の銘に
裂地にも描かれていることの多い、美しい女性の代名詞的な牡丹は、茶席に特別な雰囲気を醸し出してくれます。
牡丹は芍薬とは違って木で、葉の形も違います。香りが無い品種が多く、花びらが徐々に落ちていきます。
4月・5月頃の銘に使うと良いかもしれません。とはいえ寒牡丹の場合は冬に花を咲かせます。
- 花王(ハナノオウ・カオウ)
- 洛陽花 (ラクヨウカ)
- 二十草 ・廿日草(ハツカグサ)
- 隣草 (トナリグサ)
- 一捻紅 (イチネンコウ)
- 夜白色草 (ヨシロイログサ)、夜白草 (ヨシログサ)
- 鹿韮草 (ロクキウソウ)
- 国色(コクショク)
- 名取草(ナトリグサ)
- 百花王(ひゃっかおう)
- 富貴草(フウキグサ)
- 照穂草(テリホグサ)
- 獅子牡丹(シシボタン)
芍薬(シャクヤク)の異名 5・6月の銘に
芍薬はボタン科のボタン属ですが、芍薬は草で牡丹は木です。冬には地上部が枯れ、花は椿と同じように花の頭ごと落ちます。
高貴な姿で華麗に咲く花は茶花としても非常に愛されます。
5月・6月頃の銘として使うと良いかもしれません。
- 枸杞(ぬみぐすり)クコの古名でもある
- 夷草・恵比須草(エビスグサ)
- 顔佳草・貌佳草 (カオヨグサ) カキツバタの異名でもある
- 山ざけ(ヤマザケ)
- 山牡丹(ヤマボタン)
- 草牡丹(クサボタン) ヤマシャクヤクの異名
山吹(ヤマブキ)の異名 4月の銘に
山吹に関連した歌枕も銘になったりするなど、お茶に関連の深い植物です。
- 面影草 オモカゲグサ
- 鏡草 (カガミグサ) 他の多くの植物の別名でもある
- 藻塩草 (モシオグサ) 他の多くの植物の別名でもある
躑躅(ツツジ)の異名 4・5月の銘に
子供の頃に花の蜜を吸いまくった記憶がありますが、毒が含まれる種類が多く実は要注意な花。
- 火取草 (ヒトリグサ)
- 躑躅花 (テキチョクカ)
サツキの異名 5・6月の銘に
ツツジよりも開花期が遅く、旧暦の皐月頃に見ごろを迎える。
新しい葉が出る前に花が咲くのがサツキ。
- 山躑躅(サツキ)
- 山石榴 (サンセキリュウ)
- 映山紅 (エイサンコウ)
- 杜鵑 (サツキ) ホトトギスと同じ字
- 皐月 (サツキ)
- 左豆木 (サツキ)
カキツバタ(燕子花・杜若)の異名 5月の銘に
湿地に咲くカキツバタ。三河の八橋のカキツバタを業平が詠んだ話しは非常に有名。
青紫の杜若色に白い筋が入っているのが杜若。
- 貌佳草 (カオヨグサ・カオヨシグサ)芍薬の異名にも
- 貌吉花・貌佳花 (カオヨバナ・カオヨシバナ)
- 花君(ハナノキミ)
- 貌花(カオバナ) 朝顔・昼顔の異名にも
- 山茗荷 (ヤマミョウガ)
紫陽花(アジサイ)の異名 5・6月の銘に
日本が原産のアジサイですが、ヨーロッパで品種改良され逆輸入されたアジサイも人気です。
茶花でも良く入れられますが基本的に毒がありますので、鑑賞するだけに使いましょう。
- 四平草(ヨヒラノクサ)
- 四片花・四葩花(ヨヒラノハナ)
- 四葩(ヨヒラ)
- 八仙花(ハッセンカ)
- 七変化(シチヘンゲ)
- 鞠花(マリカ)
- 幽霊草(ユウレイグサ)
- 聚仙花(シュウセンカ)
- 藪手毯(ヤブデマリ)
- 繍毯花(シュウキュウカ)
- 大手毯(オオデマリ)
- 七花・七変(ナナバナ)
- 手毬花・手鞠花(テマリバナ)
- 手鞠子(テマリコ)
- 紫陽花(シヨウカ)
ガクアジサイの異名
- 額花(ガクバナ・ガクノハナ)
- 額(ガク)
- 額草(ガクソウ)
ヤマアジサイの異名
山アジサイの変種が誕生仏にかけたりする「甘茶」で、飲んだりもすることもあるのですが、濃い甘茶はやめた方が良いみたいです。
- 小額(コガク)
- 沢紫陽花(サワアジサイ)
撫子(ナデシコ)の異名 5月~9月頃まで?!の銘に
ナデシコと言えば、カワラナデシコ(河原撫子)とカラナデシコ(唐撫子)の二つが思い浮かびます。
河原撫子は日本に昔から自生するもので、唐撫子は平安時代頃に中国から渡ってきたものです。
常夏という異名は長い期間咲き続けるからとか。
河原撫子(カワラナデシコ)の異名
秋の七草に出でてくる「撫子の花」と言えばこちら。
日本ぽいというか清楚な印象の花です。
- 大和撫子(ヤマトナデシコ)
- 河原撫子(カワラナデシコ)
- 日暮草(ヒグレグサ)
- 懐草(ナツカシグサ)
- 野撫子(ノナデシコ)
- 洛陽花(ラクヨウカ)牡丹の異名でもある
- 常夏(トコナツ)
- 黄金銭(コガネノゼニ)
- 茶筅花(チャセンバナ)
- 和瞿麦(ワクバク)
- 瞿麦(クバク・ナデシコ)
唐撫子(カラナデシコ)の異名
色あいはどちらかというと派手な感じのする撫子です。
- 瞿麦(クバク)
- 石竹(セキチク)
- 日暮草(ヒグラシグサ)
- 常夏(トコナツ)
蛍袋(ホタルブクロ)の異名 6・7月の銘に
蛍袋はかなり強いので、育てやすく茶花を育てたい初心者におススメできます。
- 雨降花(アメフリバナ)他の植物の異名にも
- 提灯花(チョウチンバナ) 彼岸花の異名にも
- 釣鐘草(ツリガネソウ) 他の多く植物の異名にも
- 灯籠花(トウロウバナ)
- 徳利花(トックリバナ)
- 蛍草(ホタルグサ)他の多くの植物の異名にも
- 蛍花(ホタルバナ)
木槿(ムクゲ)の異名 7・8月の銘に
非常に強く、強い剪定しても元気な花。夏の時期には非常にお世話になってます。
ムクゲは昔は朝顔と言われていたという話もあります。
- 唐桑(カラクワ)他の植物の異名にも
- 槿花(キンカ)朝顔の花の異名にも
- 蕣花(シュンカ)
- ハチス(荷・荷蕖・蓮・波知須・蜂巣)ハスの異名でもある
- 夕陰草・夕影草(ユウカゲグサ) 他の植物の異名にも
朝顔(アサガオ)の異名 7・8月の銘に
子供時代、観察日記をつけさせられていた時には気が付きませんでしたが、非常に可憐で美しい花です。
朝茶事に入れてあったりすると、その美しさに息をのむほど。
中国語では牽牛花と書くようです。
- 金甑草(キンソウソウ)
- 黒丑(コクジュウ)
- 白丑(ハクジュウ)
- 牽牛(ケンギュウ)
- 黒牽牛(コクケンギュウ)
- 牽牛花(ウシヒクバナ)
- 東雲草(シノノメグサ)
- 蕣花(シュンカ)木槿の異名にも
- 蕣々花(シュンシュンカ)
- 夕陰草(ユウカゲグサ) 松・木槿の異名にも
- 鏡草(カガミグサ)他の多くの植物の異名にも
- 貌花(カオバナ)他の多くの植物の異名にも
夏の植物の異名 まとめ
今回は晩春~夏の植物の異名について書きました。
- 牡丹
- 芍薬
- 山吹
- 躑躅
- 皐月
- 燕子花
- 紫陽花
- 撫子
- 蛍袋
- 木槿
- 朝顔
と、かなり植物の数がだいぶ多くなってしまいましたが、好きな植物のところを見てもらえたら嬉しいです。
風炉の時期が始まる時期には「一斉に植物が咲き始めた!まさに百花繚乱!」といったことを感じられるというのが、お茶をしていて良かったと思うところです。
自分の好きな花の異名をいくつか覚えておくと、きっとどこかで役に立つときが来ると思います。
お茶をしていたらなおさらその機会は多いハズです。
という事で今回は「植物の異名・別名」 4・5・6・7月(晩春~夏の植物)編という話しでした。
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