今回は裏千家の御家元・大宗匠のお好みの京都の抹茶にはどんな銘の抹茶(濃茶・薄茶)があるのかという話です。
濃茶のお点前の”茶銘・お詰め”の問答の際に「どのお茶銘を言ったらよいのか??」とか
抹茶を買って自宅で飲みたいという場合、
お茶の稽古はしていても「どれ選んだらよいのかワカラン!」なんて思ってしまいますよね。
どうせ飲むのであれば美味しい抹茶を飲んでもらいたいので、裏千家のお好みから選ぶのも良い方法だと思います。
まずはどんなメーカー(お詰)からお好みの抹茶が出ているのかを見て行き、
どんな銘柄(茶銘)があるのか濃茶、薄茶に分けて紹介します。
- お詰(京都の)
- お茶銘(裏千家お好みの)
そして、最後にゼッタイ外したくないという欲張りさんに、おススメの抹茶の選び方をお伝えします。
今回、御家元・大宗匠のお好みだけをピックアップしましたが、意外にたくさんあります。
ですので、このページでは京都のお詰めさんだけを紹介しています。
京都以外のお詰めに関しては別のページで書いてます。
裏千家お好みの抹茶【お詰】
裏千家の宗家のお好みはたくさんの「お詰(おつめ)」(お茶屋さん。要するに作っている会社)から様々な茶銘のお茶が出ていますので、まずはお詰を見て行きます。
裏千家のお好み抹茶を作っている【京都のお詰(お茶屋さん)】
なんといっても京都のお茶にはブランド力があります!
年に1回行われている全国茶品評会の碾茶部門の産地賞1位を京都の産地が受賞することも多く、イメージだけでなく実力も最上級です。
高級茶といえば京都!というイメージは正しいと言えます。
ちなみに「碾茶」を石臼で挽いて粉末になったものが「抹茶」となります。
それでは京都のお茶屋さん(詰)ごとに裏千家お好みの茶銘を紹介します。
丸久小山園
元禄年間に創業の丸久小山園はお茶の栽培から手掛けています。
全国茶品評会の碾茶部門で1位になった実績も多数。
個人的に坐忘斎御家元好の「松花の昔」、薄茶なら「清浄の白」が好きです。
甘みが強くてほんと美味しいのでおススメ。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 慶知の昔(けいちのむかし)
- 松雲の昔(しょううんのむかし)
- 喜雲(きうん)
【薄茶】
- 瑞泉の白(ずいせんのしろ)
- 珠の白(たまのしろ)
- 松柏(しょうはく)
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 松花の昔(しょうかのむかし)
【薄茶】
- 清浄の白(せいじょうのしろ)
山政小山園
山政小山園の創業は文久元年(1861年)で、二代目の時には卸売りも開始。
他の有名なお茶屋さんにも卸しているので、中身が山政小山園のお茶がいろんなところで売られていたりも。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 葉室の昔
【薄茶】
- 神尾の白
- 苔の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 千里の昔
【薄茶】
- 悠和の白
上林春松本店
桃山時代にはすでに茶園の管理を任され、秀吉が開いた北野大茶の湯でも使用されたという上林家のお茶。
創業は永禄年間で、正親町天皇の時代です。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 爽明の昔(そうめいのむかし)
- 翔雲(しょううん)
- 祥宝(しょうほう)
【薄茶】
- 好古の白(こうこのしろ)
- 華の白(はなのしろ)
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 嘉辰の昔(かしんのむかし)
- 緑毛の昔(りょくもうのむかし)
【薄茶】
- 五雲の白(ごうんのしろ)
- 双鶴の白(そうかくのしろ)
柳桜園
京都以外では知る人ぞ知るお茶屋さんですが、京都では有名なお茶屋さん。
とにかく挽きたて!にこだわるアナタにおススメです。
店構えが雰囲気あるので、一度は店舗に行って購入してみてほしいです。
玄人好みの深い味わい。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 鳳の昔
【薄茶】
- 敬の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 長松の昔
【薄茶】
- 江雲の白
福寿園
創業は寛政二年(1790年)。
テレビで「伊右衛門」のCMがやっているので、そのイメージが強い方もいるかもしれませんが、もちろん抹茶の方もしっかり美味しいのがあります。
東証プライム上場企業。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 平安の昔
- 閑松の昔
- 古今の昔
- 都の昔
【薄茶】
- 静友の白
- 寿の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 瑞縁(ずいえん)
- 萬丈の昔(ばんじょうのむかし)
- 栄松乃昔(えいしょうのむかし)
【薄茶】
- 飛泉(ひせん)
- 山月の白(さんげつのしろ)
- 青仁乃白(せいじんのしろ)
一保堂
創業は享保2年(1717年)。包み紙が陸羽の『茶経』でとてもオシャレ。
各地のデパートやモールに店舗が多いので、なじみのある方も多いはず。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 青雲
- 明昔(さやかのむかし)
- 平成の昔
【薄茶】
- 曙の白
- 若き白
- 一葉の白
- 幾世の昔
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 雲門の昔
【薄茶】
- 関の白
堀井七茗園
室町将軍家の定めた宇治七茗園の中の一つ「奥ノ山」茶園を現在でも受け継いでいるのが”堀井七茗園”。
宇治七茗園のうち現存している茶園はここだけです。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 雄風の昔(ゆうふうのむかし)
【薄茶】
- 松雲の白(しょううんのしろ)
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 成和乃昔(せいわのむかし)
【薄茶】
- 里乃白(さとのしろ)
岸松園
いつも挽きたての抹茶を味わえる京都の老舗。
こだわりの強いアナタにもおススメ。
ウェブショップもあります。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 都華の昔(とかのむかし)
- 山里の昔(やまざとのむかし)
【薄茶】
- 悠久の白(ゆうきゅうのしろ)
- 松声の白(しょうせいのしろ)
松籟園
裏千家老分だった初代が昭和21年に創業。
いつも詰めたてのフレッシュな味わいの抹茶を飲むことが出来ます。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 喜松の昔
【薄茶】
- 和友の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 幽閑乃昔
【薄茶】
- 竹浪乃白
祇園辻利
宇治で萬延元年(1860年)に創業。
東京はスカイツリーソラマチにもお店があります。
茶寮都路里をやっているのもこちらの会社です。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 豊榮の昔(ほうえいのむかし)
- 萬風ノ昔(まんぷうのむかし)
【薄茶】
- 松清の白(しょうせいのしろ)
- 寿松ノ白(じゅしょうのしろ)
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 壷中の昔(こちゅうのむかし)
【薄茶】
- 長久の白(ちょうきゅうのしろ)
中村藤吉本店
安政元年(1854年)創業。
茶臼の電動化に初めて成功するという革新的なチャレンジもしている茶屋さんです。
本店のカフェは外観は古い雰囲気なのに中はモダンでオシャレ。
宇治に行ったときにはぜひ。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 成光の昔
- 祥の昔
【薄茶】
- 鮮雲の白(せんうんのしろ)
- 藤の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 塵外の昔
【薄茶】
- 清閑の白(せいかんのしろ)
松田桃香園
寛永七年(1630年)創業、伏見の老舗。
注文すると使う日に合わせて、挽きたての抹茶を届けてくれます。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 瑞豊の昔
【薄茶】
- 松香の白
清風園
東寺の隣にある宇治茶専門店の小澤清風園です。
京都駅からも歩いて行くことができます。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 清澄の昔
【薄茶】
- 萬友の白
坐忘斎御家元好
【濃茶】
- 秀峯の昔
【薄茶】
- 雲月の白
祥玉園
文政10年(1827年)創業の茶師十段のいる茶園。
こだわるあなたにおススメ。
鵬雲斎大宗匠好
【濃茶】
- 清祥の昔
薄茶
- 雄風の白
坐忘斎御家元好
濃茶
- 圓妙の昔
薄茶
- 風佳の白
碧翠園
慶應3年(1867年)に創業。天狗マークの天狗の宇治茶といえばココ。
京都城陽市のお茶屋さんです。
鵬雲斎大宗匠好
濃茶
- 瑞世の昔
薄茶
- 碧の白(みどりのしろ)
森半
天保7年(1836年)、京都宇治で創業。
抹茶を使ったスイーツやコーヒー紅茶にも力を入れている会社です。
鵬雲斎大宗匠好
氷抹茶
- 涼緑(すずみどり)
坐忘斎御家元好
濃茶
- 竹暦乃昔(ちくれきのむかし)
薄茶
- 月輪乃白(げつりんのしろ)
北川半兵衛
文久元年(1861年)に創業
祇園にモダンかつクラシカルな日本茶カフェ「祇園北川半兵衛」もやっています。
濃茶
- 千寿昔(ちずむかし)
薄茶
- 青海白(せいかいはく)
【抹茶の選び方】濃茶用なら外さない
ゼッタイ外さない美味しい抹茶を選びたい!と思ったら、お茶屋さんが濃茶として使うのをおススメしている抹茶の中から選びましょう。
お好みでなくても、「濃茶におススメ」とされていれば大丈夫です。
濃茶用(濃茶におススメ)のお茶は値段が高めではあるのですが、お茶のおいしさを味わうには最適です。
濃茶用としておススメされている抹茶を選ぶことで、ほぼ間違いなく”そこのお詰め(会社)が自信をもっておススメする美味しい抹茶”が飲めます。
なぜ間違いなく美味しいかというと、濃茶にもおススメしているという事は、「濃茶のように濃く点てても美味しい抹茶ですよ」という判断を、製造している側がしているということだからです。
濃茶というのは、抹茶の中でも上位のランクでしかやりませんのでね。
もちろん薄茶で飲むときにも”濃茶におススメの抹茶”を使って問題ありません。
ただし、よく言われる「○○の昔」は濃茶で「○○の白」は薄茶というのは必ずしも当てはまりません。
だいたいそういった傾向があるというだけです。
茶銘についている「昔」と「白」は薄茶と濃茶を区別するものではないという事を覚えておきましょう。
美味しい抹茶の銘柄を選ぶことができれば、あとは点て方、腕しだいですね!
自分が最高に美味しいと思える状態でお茶を点てられるように、色々試行錯誤してみてください。
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