【中置の点前】のポイント 特徴と点前による違いをいっぺんに覚えたい 小板・大板・五行棚

大板中置 お点前
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裏千家のお茶では10月に入ると中置の点前の稽古をすることが多いと思います。

とはいえ、中置の点前は10月にしかやりませんので「一年ぶりにする点前なので、全然内容を覚えていないわ~」という方もおられると思います。

今回の記事では、忘れやすい中置の点前をポイントに絞って解説していこうという内容です。
中置に関する重要なポイントがわかれば、すぐに点前を思い出すことができると思います。
普通の薄茶・濃茶ならばできるという方には有益になるのではないかと。

さらに中置をするなら知っておきたいその他の点前まで触れます。
ただ、炭手前に関しては今回は解説していません。

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中置の点前の重要なポイント

まず中置の点前を覚えるためのポイントを先に挙げて、話しを整理しておきたいと思います。

  1. 中置は3種
  2. 水指の場所
  3. 蓋置と柄杓の引き方
  4. 仕覆の場所
  5. 茶碗の割付け
  6. 柄杓・蓋置の荘り方
  7. 湯返しは無い
  8. 「常据の大板」と「長板二つ置き」も覚えたい
  9. 小間ではできない

それぞれ解説します。

中置は3種類覚えたい

中置の点前のパターンは基本的に3種類です。

  • 小板の中置
  • 大板の中置
  • 五行棚

小板というのは通常のお点前で風炉を置いている、いわゆる「敷板」の事です。
中置の稽古ではいちばんよくやるしつらえだと思います。

大板(おおいた)というのは真台子の地板の半分くらいの大きさ(一尺四寸四方が多い)の敷板で、棚としての扱いをします。
常据(じょうずえ)でもやりますが、中置の時期に登場することが多いのが大板です。

五行棚は土風炉が約束の、棚の地板に置いて使用する玄々斎好の棚です。
地板は大板と同じ大きさになっています。
ちなみに五行棚は中置でしか使えない中置専用の棚ですので、五行棚の常据というのはありません。

これらの3種類の中でそれぞれ初炭・後炭・濃茶・薄茶があるので複雑に思えます。
ですのでこれら3つを比較しながら、頭を整理していけば覚えやすくなるのではないかと。

実は他にも中置のような点前がありますが、通常習う事は無いと思いますのでそれについては解説しません。

中置の水指の場所 

中置の点前では水指は「地板に半掛かり」になる位置に置きます。
小板でも大板でも五行棚でも同様です。

ちなみに水指を運んで置くときには、少し左を向いて点前座の真ん中に座って水指を置く(左ナナメを向いて置いている)という事をします。

ですので、水指の正面は点前座の方向に真っすぐというより、亭主の方向に向いてナナメということになります。

ちなみに点前畳に入ったら4歩でナナメに座って水指を置きます。

中置 「蓋置の位置と柄杓の引き方」

中置点前の「柄杓を蓋置に引く位置」は重要ポイントです。

点前の順序的には、”建水を持ってきて着座、柄杓を構えて蓋置を取って定座に置き、柄杓を引く”という場面の話しです。

  • 小板の中置は柄杓をナナメに
  • 大板の中置・五行棚は柄杓を一文字に

という2種類があります。

小板の中置 蓋置と柄杓

小板中置 蓋置・柄杓の位置
小板 蓋置・柄杓の位置

小板の中置では、水指の前に蓋置を置きます。
そして、柄杓は膝前に柄杓の切止が来るようナナメに蓋置の上に引きます。

ちなみに蓋置の正面は柄杓の柄の向きと同一方向を向くので、ナナメに向くことになります。

大板の中置・五行棚 蓋置と柄杓

大板 蓋置・柄杓の位置

大板の中置と五行棚は点前が似ていますので、蓋置と柄杓の引き方は同様です。
そもそも五行棚の地板は大板と同じ大きさのものです。

大板(地板)の左手前カドに蓋置を置き、柄杓をその上に引いて、柄杓の柄は一文字、つまり真横にするようにして置きます。

このとき”蓋置の正面”は柄杓の柄の向きと同一方向になりますので、真右に正面を向けて置くことになります。

中置 仕服の位置

濃茶の場合には仕服がありますので、点前ごとに覚えておかなければいけません。
仕服の場所はそれぞれ違っていて、間違いやすい注意点もありますので覚えるべきポイントです。

中置 小板の仕服の位置

小板 仕服の位置

小板・中置の点前の仕服は、勝手付で蓋置の手前です。

蓋置には釜の蓋がのりますので、釜の蓋の水滴が仕服に落ちないように仕服を少し離しておきましょう。

中置 大板の仕服の位置

大板 仕服の位置

大板・中置の点前では仕服を置く位置は、”勝手付、水指の手前”です。

茶碗の割付けをした時に、仕服が茶碗の向こうに来るような位置になります。

五行棚の仕服の位置

五行棚の濃茶点前では脱がした仕服は、”天板の勝手付手前カドに左手で置く”です。

イメージとしては台子の天板に仕服を置くというのと同じ感じです。

中置 茶碗の割付けの位置

仕服がある濃茶の場合少しややこしい感じになります。
大前提として、拝見を請われたあとの茶碗の割り付け位置は、”仕服が置いてある位置よりも手前”に置きます。
茶入の付属物である仕服よりも、茶碗の方が下座に来るべきという考えゆえです。

中置 小板の茶碗の割付けの位置

中置小板 茶碗の割付位置

拝見を請われた後に柄杓・蓋置を片付けて、茶碗を割付けるわけですが、小板の中置の場合には茶碗の割付けの位置が意外に間違いやすいのでポイントです。

水指の前にあった柄杓・蓋置が無くなっていますので、柄杓・蓋置があった位置に茶碗を置きがちなのですが、それだと仕服の上(向こう)になってしまいます。

茶碗は仕服の下(手前)に来るのが正解です。

茶碗を割付けるときに道具畳から出る点前というのがあまりないので、違和感があるかもしれませんが、茶碗は下で仕服の方が上となります。

中置 大板の茶碗割付け位置

大板中置 茶碗割付け位置

大板の中置は仕服の手前あたりに茶碗の割付けをします。
茶碗が道具畳から少し出るかなという感じの位置です。

中置 五行棚の茶碗割付け位置

五行棚の濃茶では仕服は天板にありますので、通常の運びの濃茶と同様の割付け位置になります。

中置 柄杓・蓋置の荘り方

お点前を終えて水屋に帰るときの柄杓・蓋置の飾り方です。

大板の中置 柄杓・蓋置の荘り方

大板の中置では柄杓は勝手付にタテに荘り、蓋置は柄杓の手前右に荘ります。
蓋置の正面は手前に向くことになります。

五行棚 柄杓・蓋置の荘り方

五行棚では

  1. 入り荘
  2. 柄杓を天板勝手付タテに、蓋置は柄杓の柄の下で地板に
  3. 柄杓を天板勝手付タテに、蓋置も天板で柄杓の手前右

のいずれかで荘ることができます。

中置 湯返しは無い

中置の点前はすべて水指が畳に直接乗っていますので、湯返しはありません。

五行棚の場合、棚を使っているのでなんとなく湯返しをしたくなってしまいますが、湯返しをする条件は「水指が畳に直接乗っているか否か」なので、湯返しはしません。

詳しくは湯返しについて書いた記事を参考にしてください。

「常据の大板」と「長板二つ置き」も覚えたい

どうせ中置の点前をするのであれば、ついでに知っておきたいのが

  • 「常据(じょうずえ)の大板」の点前
  • 「長板二つ置き」の点前です

せっかく中置で大板が出てきますので、関連付けて覚えれば知識が広がると思うからです。

そして「大板の常据」と「長板二つ置き」の点前は非常に似ていますので、セットにして覚えれば省エネで覚えることが出来ます。

ここでは簡単にこの二つの点前の特徴的な共通ポイントと違うポイントを挙げます。

  • 蓋置は竹の蓋置を使う
  • 蓋置を勝手付の板の上、柄杓は膝前に引き下ろし

違う点は

  • 長板二つ置は湯返しをする
  • 大板の常据は湯返しをしない

柄杓・蓋置の荘り方ですが、大板は蓋置を風炉の右の客付に荘り、柄杓を更に右にタテに荘ります。
大板の中置のときとシンメトリーになる感じですね。

小間ではできない中置

裏千家の茶道では「中置の点前は小間ではできない」というルールになっています。

そういうものだと覚えておけば良いことですのでそんなに難しくはありませんが、意外と忘れがちな点です。
10月のお茶会で小間で中置をしている先生もおられたりするくらいですので、けっこう間違いやすいです。

なぜ小間では中置をやらないのかといえば、中置と小間はともに侘びた風情で差し合うという理由から、ということになっています。

中柱のある小間ではタテのラインが差し合うので釣釜はしないみたいなものでしょうか。
重ねて同じような趣向は控えるというのはお茶の世界ではよくある話ですね。

という事で、「【中置の点前】のポイント 特徴と点前による違いをいっぺんに覚えたい 小板・大板・五行棚」という話しでした。

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